未来構想デザインコースへようこそ

2020.4.1

入学おめでとうございます。

未来構想デザインコース一期生として入学の時を迎えるに至ったみなさんに、コース教員一同、こころよりお祝いと歓迎の意を表します。

私たち教員はデザインの新しいあり方を学ぶこのコースを企画し、そのアイデアを世に問うたのですが、それが受験生の方々に理解されるのかと不安と期待が入り交じった気持ちを抱いていました。しかし私たちの思いに応えて当コースを志願してくれたみなさんをお迎えすることができて、とてもうれしく思っています。

本来であれば、4月上旬の新入生ガイダンスでみなさんとお会いできる予定となっていましたが、昨今の新型コロナウィルスの状況により、現在のところガイダンスは4月14日(火)の予定となっています。またそうならないことを願っていますが、状況によってはガイダンスやその後の授業にもさらなる影響が出る事態も考えておかねばなりません。

みなさんはもとより、私たち教員もそうした状況に不安を感じています。しかしながら予期せぬ事態に直面したとき、最悪の状況を想定しつつも、ユーモアや遊び心を忘れず、それをいかに切り抜けるか、そしてたんに切り抜けるだけでなく、その状況から学び、新たな生き方や価値をいかに作り出していけるのか、それこそが未来のデザインに課された課題だといえます。

そうしたデザインのあり方をとくに「レジリエンスデザイン(回復のデザイン)」と呼びます。みなさんも、そして私たち教員も、未来構想デザインコースが誕生するその瞬間に、そのレジリエンスを問われているのです。

どのような事態になったとしても、私たち教員は、みなさんの学習の機会をできるだけ保証するよう努力するつもりです。しかしその学習は、いままで当然そうだと思っていたような学習のあり方とは異なるものになるかもしれません。これまでのあり方を状況に応じて柔軟に変化させ、なお、そこに新たな経験と生き方の種を見つけていくことが大切なのです。

3月31日の現在の時点で考えられるのは、授業や演習を対面に代わってICT技術(インターネットやコンピュータを用いたコミュニケーションの技術)により実施することです。それをたんに対面授業の次善の策ととらえるのではなく、むしろその優れた点を見いだし、それを最大限に活用することで新しい学びのあり方を探求することが求められています。

この技術を利用するに当たっての問題点は、学生のみなさんに端末とネットワーク環境が必要となるということです。これについては、九州大学の基幹教育や芸術工学部が様々な方策を現在検討中です。しかしながら、欧米がすでにそうであるように、今後の状況の推移によっては大学そのものが閉鎖される可能性も完全には否定できません。その場合は教員もまた、大学に行くことができません。

これは考えられうる最悪の事態ですが、しかしそれを想定して準備することも場合によっては必要なのです。学生のみなさんには、実家や自宅、アパートにて高速のネットワーク回線と、カメラとマイクが利用できるPCによるICT環境をできるだけ早期に準備していただくようお願いいたします。

こうした心配が杞憂であったと思える日が来ればどんなにか幸せでしょう。しかしそうでなかったとしても、苦しい経験から学ぶことができたものは、生涯にわたる血肉となり、みなさん自身を助けてくれるはずです。

いずれにせよ、どんなかたちにせよ、これから4年間、エキサイティングな毎日が始まります。まもなくみなさんにお会いできるかと思います。その日を楽しみにしています。

未来構想デザインコース教員一同
2020年4月1日