【報告】未来構想の二人の芸術家の展覧会 栗山斉と中村恭子

2022.9.8

未来構想デザインコースには二人の芸術家が在籍する。美術家の栗山斉先生と日本画家の中村恭子先生である。

くしくも夏の同時期二人の展覧会が開催されていた。

栗山斉先生の会場は最近伊都キャンパスにできたフジイギャラリーの杮落としイベントであった。無の探求が表出された作品である。哲学的な探求でありながら、物理学や工学との関連も想起させる。人工物の構成でありながら生命感や逍遥感も感じるものとなっていた。

中村恭子先生の会場は、昭和3年に建設された「片倉館」とう国の登録有形文化財であった。「脱創造」と諏訪の「御柱」をテーマに、実に29点の作品が並んだ迫力あるものであった。日本画の繊細な技法と優しさを表出させる表現に大作でありながら、フワっとした気持ちを持ちながら鑑賞できた。

二人の対象や方法、展示場所も対照的であるのだが、大胆な気合や心意気を共通して感じ、繊細な技法とそこへのこだわりからの表出は同様に時折粛然とさせてくれることも共通であった。

未来構想の今と未来を担う二人の芸術家の作品展をほぼ同時期に見た美術に全くの素人の私は心地よい混乱を受けた。おそらく授業で学生を同じような感覚や気持ちにさせながら、二人自身をもこえる新しい創造性を持つ学生を生み出してくれるのだろうと感じた。

中村恭子先生の名刺には羽化まもない体の模様も定まっていない虫が描かれている。未来に向けて、生まれたばかりの未来構想デザインコースもまだまだ定まらないなか新しい創造性を生んでいくのだと、美術に素人ながら思いがめぐった。

報告:尾方義人(未来構想デザインコース教授)

[外部リンク]
フジイギャラリーグランドオープン記念展示「無にみつるもの」:
https://fujiigallery.kyushu-u.ac.jp/event/2022/20220511_munimitsurumono/
諏訪市美術館令和4年度特集展示「中村恭子日本画作品展:脱創造する御柱」:
https://www.youtube.com/watch?v=Vr26NXeGclQ