未来構想デザイン・グレートブックス01 

2020.4.8

初回は、古賀先生からの紹介です。

アドルノ=ホルクハイマー『啓蒙の弁証法-哲学的断章』  徳永恂訳、岩波文庫、2007年

バウハウスをはじめとし、当時最高の学問的・人権的水準にあったワイマール期のドイツが、わずか数年でナチスの台頭を許し、ユダヤ人の大量虐殺など最悪の状況に転落したのはなぜかを問う本。「なにゆえに人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態に陥っていくのか」(序文)著者たちによれば、科学や技術、道徳や理性の発達そのものが転落の条件を作り出すという。デザインを志すとき、かならず踏まえておくべき視点を示す。

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プラトン『ソクラテスの弁明・クリトン』  久保勉訳、岩波文庫、1964年

最も知恵ある者という神託を知ったソクラテスは手工業者の元を訪れる。かれらは何かをうまく作り上げることに熟達した専門家であるとしても、人間にとって何がもっとも大切なのかについては探求したことがない。にもかかわらず、自分が作る製品はよいものだと思い込んでいる。専門家の思い込みを突き崩し、何を作るべきなのかを真に考えることができるのは〈何も知らない〉ことを自覚する素人である。デザインリテラシーの哲学的基礎を教える本。

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メドウズほか『成長の限界 ローマクラブ「人類の危機」レポート』  大来佐武郎監訳、ダイヤモンド社、1972年

生命の増殖のリズムとしての幾何級数的成長と、人間の作為のリズムとしての算術級数的努力との決定的な落差を示し、今日の環境倫理学、環境経済学、持続可能性の議論の基礎を作った歴史的名著。サイバネティクスやフィードバックの概念を用いて、未来の環境にかかわる数理モデルの基礎的な枠組みを示す。環境破壊や資源枯渇、ウイルスによるパンデミックに至るまで、いかなる未来が待ち受けているのか、いまデザインが何をすべきかを考える上で必読の書。

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