卒業生から、高校生へ。09 株式会社モンスターラボ 栗田 大夢さん

2025.11.28

未来構想デザインコース担当教員の研究室 卒業生からのメッセージです。

栗田 大夢さん

2022年 私立専修大学附属高等学校 卒業
2024年 九州大学芸術工学部 芸術工学科未来構想デザインコース 卒業
2024年 株式会社モンスターラボ 入社

現在のお仕事について教えてください。

 IT企業であるモンスターラボ(Monstarlab)にて、ビジネスアナリストとして勤務しています。あまり聞き馴染みのない職種かもしれませんが、クライアントやエンジニア・デザイナーの橋渡しをしながら、プロダクトの仕様設計や運用サポート、データ分析などを行っています。
また、オフショア開発という海外チームと連携しながらプロダクトを作っていく体制をとっているため、日本のメンバーだけでなく海外メンバーとのコミュニケーションする機会も多いです。プロダクトに関わるさまざまなメンバーの意見や要望の認識を合わせ、具体的な仕様に落とし込むことが求められる仕事です。
現在担当しているのは、大手不動産会社が運営するアミューズメント複合施設の利便性やユーザー体験を高めるためのアプリケーションの開発です。学生時代に受講したプログラミングの授業で、成績は決して優秀とは言えなかったものの、コードの仕組みや考え方に触れた経験が、現在の業務における抵抗感の少なさにつながっていると感じています。実際、SQLの記述やGitHub上でのコード確認など、プログラムに関わる場面も多く、当時の基礎的な学びが大いに役立っています。
学生時代にやっていたデザイン関係の仕事ではなく、現在はマネジメント的な立場にありつつも、将来的には今の職種で得たスキルを活かして、よりデザイン寄りの仕事にも携わりたいと考えています。

学生時代について

芸術工学部未来構想デザインコースの所属ではありましたが、インダストリアルデザインやメディアデザインなど多様な分野に関心を持ち、結果として2年生終了時点で124単位を取得するなど、非常に多くの講義に積極的に参加していました。
未来構想デザインコースで印象に残っている講義は、2年次に受講した演習授業です。実際に調査対象とした八女市での現地調査を行った上で、未来のバス停の姿を考え、展示の企画や展示物の制作を行いました。この八女市での現地調査はチーム単位でやりたいと声を上げたのですが、実際に授業の時間内に自分たちのチームだけバスで八女市に赴いてインタビューを行うなど、こんなに柔軟にいろんなことをやらせてもらえるんだと驚いた記憶があります。私は講義の成果物として、映像やインタラクションに重きをおいた成果物を制作することが多く、縄文時代と現代の音を比較するサウンドインスタレーションや、他にもコロナ禍の教育現場における先生と生徒の葛藤をテーマに、実際に当時高校生だった学生や教職員の方にアンケート調査をした上で、当時の「心の声」にフォーカスした作品の制作を行いました。こういった作品の制作にポジティブで、協力的なのは芸工の良い文化だと思います。
またサークル活動では、CBAprojectという学祭サークルでこれまで未経験だった映像制作を始め、最終的に3年次にはサークルの副代表を務めました。芸工は学生活動がとても盛んですが、サークル活動に本気で取り組んだことで得た「作ること」に対する考え方や、多くの人が集まってものを作り上げることの楽しさ・難しさの感覚は、今でもとても大切にしています。
そのほか、講義以外の場でも映像制作やモーショングラフィックス、ロゴ制作など多様な場でアウトプットを重ね、「自ら作ること」を大切にする姿勢を育んできました。

受験生に向けてのメッセージ

多様な人と専攻が交わるこの学部は、自分の視野を広げるためのかけがえのない4年間だったと思います。特に未来構想デザインコースでは自由度の高いPBL型授業が多く、答えのない問いに取り組む際の自主性や創造性はもちろん、チームでの協調性やものごとのマネジメント力を伸ばせる機会が多かったと感じています。
ぜひ受験生のみなさんには、自分の好奇心や「面白そう」という感覚を信じて、このカオスな環境に飛び込んでみてほしいです。
受験勉強はうれしいこと、落ち込むこと、つらいこと様々あると思いますが、受験が終わり、大学生になったみなさんの前には、高校生のときよりももっと不確実で、複雑で、楽しい世界が広がっていると思います。大学生活、そして今取り組んでいる受験勉強の経験も含めて、みなさんの大切な人生の糧になることを願っています。頑張ってください!