未来構想デザインコース担当教員へのインタビューです。
私の専門はデザイン教育です。デザイン教育を通じて、教育的なインパクトを及ぼすことを目指しています。大学のデザイン教育と、小中学校のデザイン教育は異なります。大学でのデザイン教育はデザイナーを育てますが、小中学校のデザイン教育は、問題解決力と実践力を養うために行われています。時代に合わせて、デザイン教育は変化し続けています。私は特に日本のプロダクトデザイン教育について研究してきました。そして、デザイン教育を通じて学生の思考力を高めることに興味を持ち、7年前から小中学校のデザイン教育を中心に研究し始めました。
日本では小中学校のデザイン教育はあまりありませんが、海外の子どもたちはしばしばデザイン活動をします。例えば、オランダ、フランス、イギリスなど海外の学生はよくデザインプロセスを利用して身近な問題を発見し解決したり、芸術性のあるプロダクトを作ったりします。デザインする時、情報収集として利用者に聞き取り調査などをして、高いレベルの思考力を身につけることができます。最近は海外のデザイン教育の内容とやり方を調査して、日本の先生と協力して活用する方法も検討しています。また、新しいテキストと教具のデザインもしています。つまり、私の研究は「design in education」 と「design for education」の両方をやっています。
未来構想デザインコースは今までのやり方と違います。本来はデザインする時に個別でやります。例えば、インダストリアルデザインであれば、インダストリアルデザイン関連の知識が重要視されます。未来構想デザインコースの考え方は、さまざまな分野の知識を統合しなければ社会問題を解決することは難しいということです。例えば、子どもの教育については、教育の専門家だけでなく、他の分野の専門家も集まって、一緒に新しい学びのあり方を考えています。自分の知識を活かすだけではなく、多分野の専門家と協力したりすることができるのは素晴らしいことだと思います。未来構想デザインコースは今からの社会問題を発見して、横断的なやり方で挑戦するコースです。
英語にはこんな比喩があります。“Jack of all trades, master of none.” これは、一つの技術に集中して専門性を高めるのではなく、多くの技術に手を出している人のことを指す言葉です。確かに、芸工の他のコースと違って、未来構想デザインコースではさまざまな分野の先生方を集めています。しかし、未来構想デザインコースの学生は “Jack of all trades” ではありません。一つの分野に集中して深く学びたいと思えば、それも可能です。「心配しないてください」と伝えたいです。
インタビュー・編集:山田悠介、村本りずむ、金依寧(未来構想デザインコース学生)