合成生物学という分野で生き物を分子レベルから組み立てる研究をしています。私たち生き物の体は、たくさんの分子部品が適切な場所に自動的に集まることで作られています。このような製造過程を自己組織化と言いますが、分子を設計して、まずは細胞のように小さなロボット(分子ロボット)をデザインし、作ることに挑戦しています。
その一方で、分子の世界は目には見えない小さな世界なので、イメージしにくい世界です。スケール感も人間の世界とは異なります。そのような分子の世界を、イラストや3DCG、仮想現実(VR)、人工知能(AI)などの最新技術を用いて可視化したり、体験できる作品制作にも取り組んでいます。
この未来構想デザインコースは、アート・デザイン、情報・生命科学、社会構想に属する非常に様々な専門分野の教員が集まっています。コース全体として、一色に統一されていない不思議なコースですが、生き物の体も様々な部品が混ざり合ってできており、こういった異色の素材たちが集まることで、「創発」と呼ばれる現象が起きます。創発とは、個々の素材では発揮できないような機能や現象が起こる言葉です。例えば、神経細胞の集まりから、私たちの意識や知性が生まれます。そんな創発を実現できる可能性を秘めているのが未来構想デザインというコースだと思います。
これまで、私は様々な分野を転々としてきました。その中で、自分独自の個性が生まれてきたと思います。この未来構想デザインコースは一つのコースの中で、多様な専門分野の先生方と出会うことができます。これからの未来、AIなどの技術がますます進歩すると思います。そんな社会の中では、個性が重要視されるようになってくるような気がします。未来構想デザインは個性を伸ばすのに適したコースだと思いますので、ぜひ在学中にいろいろな経験や知識を吸収してください。