コース長挨拶

2019.7.15

未来構想デザインコースへようこそ

未来構想デザインコースには二つの意味があります。

一つには、未来のありかたを構想しデザインするということです。デザインは、人間や世界のありかたをよりよいものにしていく行為です。未来を考えるということは、したがって、人間や世界にとって「よい」とは何なのかを根本から考えることを意味しています。

技術が進歩して目標の達成がただ高速になることがより「よい」ことか。様々な商品や巨大な建築物に囲まれて暮らすことがより「よい」ことか。動植物を犠牲にして人間の寿命を延ばすことがより「よい」ことか。有名な学校に進学して有名な会社に就職することが、果たして人生にとって「よい」ことなのか。

なんのために「よい」のか、この問いに答えることなく、ただ惰性に従って生きても、そこに現れるのは、その中身をたんに埋めていくばかりの空虚な時間だけです。未来を構想しデザインするためには、これまでの過去を振り返り、身を削ってそれと格闘し、新しい生き方を切り開かねばなりません。

もう一つの意味は、デザインの未来のありかたを構想するということです。人間のよきありかたを実現するデザインは、自らを研ぎ澄ますために専門分化してゆきました。専門技術となったデザインたちを、もう一度、「よい」あり方のためにつなぎ合わせ、新しいデザインのモデルを構築していく必要があります。

そのために未来構想デザインコースは、豊かな感性と鋭い理論によりアートとデザインに取り組む「アート&デザイン」、多様な人間のありかたや豊かな生態系を持続させる社会のありかたを実現する「社会構想」、有機的・数理的な論理性により新たなモデルを構築する「生命・情報科学」の三つの柱からなっています。

未来を構想することと、デザインの新しいありかたを探求することを切り離すことはできません。二つの意味を密接に関係させながら、つねに自分自身に挑戦し、新しい可能性に身を開いていくことを、このコースは目指しています。

古賀 徹

九州大学芸術工学部
未来構想デザインコース長