コース長挨拶

2022.5.25

未来構想デザインコースへようこそ

今年(2022年1月)の共通テストの国語の問題に、宮沢賢治の「よだかの星」が引用されました。そして、ほんの一瞬かもしれませんが多くの受験生が「食べられる豚の気持ちについて考えたこと」「食べることの哲学を考えたこと」でしょう。食べること、寄り添うこと、わかり合うこと とはなにか、多様性や包摂性、そんなことを考える問題だったと思います。

芸術工学部・未来構想デザインコースでは、そのような新しい問題・複雑な問題に対して、一つのことをたくさんのアプローチで見、たくさんの方法で考えていきます。そしてしっかりと考えた上で、問題を提起したり、解決方法を作っていきます。そのプロセスを経験し、新たなものをつくっていきます。つくります!

そのために、とても幅広い領域から文系理系芸術系問わず勉強していきます。最近は「総合知」という言葉がよく使われますが、未来構想デザインコースは総合知を利用し、思考し、問題を見つけ、解決方法を考え、つくり、表現するところです。そのために未来構想デザインコースは生まれました。

成熟し発展した社会と思われていた世界でも、今ウクライナ侵攻で信じられないような暴力や非寛容・分断が起こっています。気候変動や貧困・ジェンダーなど複雑な問題もまだたくさんあります。

私達は、エンジニアでも、医者でも、政治家でもありません。しかし、私達芸術工学は、発見し、思考し、解決案を考え、そして、かっこよく美しくたのしく設計・表現することができます。

大変な世の中ではありますが、今こそ、そのような方法を持った、芸術工学の出番です。未来構想デザインの出番です。

そのためには、たくさんのことを勉強します。びっくりするぐらいたくさんのデザインの方法を経験すると思います。そして少しづつですが、その方法は皆さんのからだと頭に染み込んでいきます。大変かもしれませんが、私達は皆さんを支えます。そして支え合ってください。

デザイン・芸術工学は、本当に楽しい研究分野です。そして“未来構想デザイン”は新しい分野や問題に、真摯に、明るくむきあっていきます。

尾方 義人
九州大学芸術工学部
未来構想デザインコース長