稲村徳州先生

2021.5.12

未来構想デザインコース担当教員へのインタビューです。

研究内容について教えてください

僕の専門はデザインエンジニアリングです。簡単に言うと「デザイン」という定量化しにくい考え方と、「工学」の考え方を掛け合わせ、主観的な部分と理性的(ロジカル)な部分を掛け合わせた中で、どのようにイノベーションを起こすか、どうしたらそれが新しいもの、革新的なものになるのかというデザインプロセスについて今まで研究してきました。

人間中心のデザインというのは、「作る側の都合」だけではなく、「使い手にとって良いかどうか」が考慮されています。ものづくりは人と社会にやさしいものへと変化してきた一方で、生物多様性が失われたりするなど、環境面での悪影響が出ています。芸工では人間中心のデザインを考える癖がついていますが、「人間中心じゃないデザイン」を考える必要があると僕は考えています。なぜなら人間中心というのは、生態系を構成している生物の中でヒトだけ、というようにデザインの領域が簡略化されているからです。

生態系の中ではヒト以外にもたくさんの生物が生きています。だから僕は、人間中心という考え方に囚われず、ともに生態系を構築しているメンバーとしてのデザインはどうあるべきか、言うなれば『技術の生態系化』の研究をしています。

私たちは、人間だけの目の前のニーズだけでなく生態系のニーズを理解する伝統的技術を持っています。文化や国籍を超えてそれらの技術を理解することで、人間にもいいけど人間のためだけじゃないデザイン、ポスト人間中心のデザインができるようになります。

先生の考える「未来構想デザイン」とはなんですか

未来構想デザインは、「ポスト人間中心」や「技術の生態系化」の考えにシフトしていくための対話の場だと僕は考えています。自分たちがどこからきてどこへ向かっていくのか、ものを作ったり試作したりしながら、ビジョンを打ち出したり探索する場所になってほしいです。

未来構想の学生へのメッセージをお願いします

人間社会のためだけのデザインから飛び出すための態度・姿勢、そのための考え方や技術はこれから生み出さなければなりません。だからこそ、それを生み出す人になって欲しいです。文明の存続に関わるような問題を、好奇心を持ってそれを上回るような姿勢を持ってほしいです。

また、どうしても日本には日本文化の中で作り上げてきた日本という概念が根強く残っており、それは日本人にとって強みでもあり弱みでもあります。私たちの生活している領域はもはやそれぞれの地域の生態系を超え、多岐にわたっています。だからこそ、人間中心のデザインから脱却する Culture を作ることのできる人になってほしいです。

インタビュー・編集:佐藤広武、栗田大夢、牛尾桜(未来構想デザインコース学生)